HPVとは 主に子宮頸がんの原因になると言うことで知られているヒトパピローマウイルスというウイルスのことです。HIV(エイズの原因ウイルス)やHSV(ヘルペルの原因ウイルス)と似ていますが全く違うウイルスです。
Human Papilloma Virus (HPV)
Human Immunodeficiency Virus (HIV)
Herpes Simplex Virus (HSV)
このように頭文字を取って省略されるので、ウイルスは全て”V”で終わることとたまたま最初が”H”なのでとても似て見えますね。そして全て性感染症、もしくは性行為に関わる疾患なので紛らわしい。でもそれぞれ別なウイルスです。
目次
HPVとは
HPVは15o種類程度ありそのうち40種類程度が性感染すると言われています。40種類全てが癌の原因となるわけではなく、いぼの原因になるものも含まれています。
ここでHPVファクトをリストアップしてみましょう。
Fact 1: セックスによって感染する。(日本ではハイリスクHPVは性感染症としていませんがCDCでが最もよくある性感染症とされています。なぜ日本では性感染症としていないのかは、こちらのページ「子宮頸がんと性感染症」をご覧ください。)
Fact 2: 感染してもほとんどは自分の体の免疫で自然に治るから、感染=がんではない。
Fact 3: 膣や子宮、ペニスだけでなく、粘膜の接触があれば肛門や喉にも感染する。
Fact 4: 症状がなくてもうつる。
Fact 5: 40種類のうちハイリスクと確認されている型のうち16型と18型が最も悪性度が高く、70%程度の子宮頸がんはこの二つの型が原因。
Fact 6: ワクチンがある。
HPV コンジローマとハイリスクの違い
HPVにはコンジローマ型とハイリスク型と言うものがあります。違いを見ていきましょう。
コンジローマ型HPV
HPV:6型、11型
コンジローマは性器付近にいぼを作ることから性感染症とされています。全てのHPVワクチンにこの2つの型は含まれています。
ハイリスク型HPV
HPV:16型、18型、31型、33型、 35型、 39型、 45型、 51,型、52型、 56型、 58型、 59型、 66型、 68型
ハイリスク型のHPVはまだまだ見つかっていますが、今現在ではこれだけのハイリスク型、つまりがんになる可能性のあるHPVの型が見つかっています。
全てのワクチンには16型と18型が含まれています。9価ワクチンには、6型、11型、16型と18型に加え、31型、33型、45型、 52型、 58型が含まれより効果的になっています。
HPVが体に及ぼす影響と治療
いぼ
コンジローマ型のHPVに感染するといぼができます。いぼは体の免疫力によってウイルスが自然に排除されていつの間にかなくなっていることもあれば、変わらない状態が続くこともあれば、大きくなったり増えたりもします。体の免疫状態によります。
病院でいぼの治療を受けることはできますが、ウイルスが皮膚に存在しているとまたいぼになることもあります。
がん
ハイリスク型のHPVに感染し、持続感染が続くとがんになります。いぼのように肉眼で見えた変化をなかなか起こさないので、感染していることに気がつくことは難しいです。
細胞診検査で異形成(がんになる前のHPV感染細胞)がみられた時は、そのステージによって治療ができます。変化がまだ弱い時は経過観察になります。
がんになる前の異形成の段階での手術は子宮の入り口を削る手術なので、赤ちゃんができる部分の子宮を傷つけずに取り除くことができます。
子宮頸がんの何よりもの治療は、HPV感染ががんになる前に見つけて対処することです。
ワクチンはHPV感染前に受けることで予防効果はありますが、すでに感染してしまったHPVの治療効果はありません。HPVワクチンは子宮頸がんだけではなくハイリスク型のHPVに反応するので、子宮頸がん以外のHPV関連がんにも効果があります。
HPV関連がん
・子宮頸がん
・膣がん
・外陰がん
・陰茎がん
・肛門がん
・咽頭がん
・その他、扁桃腺、涙腺、鼻腔がんにも関連があることが確認されています。
*HPVは重複感染(複数の型のHPVに同時に感染すること)しやすいウイルスです。いぼがある時はハイリスク型のHPVにも感染している可能性があります。いぼだから大丈夫、と放置せずに子宮頸がん検診をしっかりと受けましょう。よかったら、「相手の性器にいぼ、それ要注意?」も見てみてくださいね!
HPVとは まとめ
HPVはセックスによる粘膜の接触で感染するウイルスです。
コンジローマ型とハイリスク型があって、それぞれいぼの原因とがんの原因になる違う性質を持っています。
がんになるタイプのハイリスク型も早くに感染した細胞を見つけることによってがんになる前に治療をすることができます。がんになってしまってからの治療よりも、HPV感染の段階での治療は効果が大きく違うだけでなく、将来妊娠できるかできないかの違いにもなります。
定期的に検診を受けてHPVを感染症で終わらせましょう!まだセックスはこれから!と言う人は、HPVワクチンについても自分の意思で検討してみてくださいね。アメリカでは9−14歳の男女にワクチン摂取を推奨しています。日本でも、男性も接種可能になる方向にも動いているので、男性も必見です!
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男性ようにも男のHPVタイピング検査(ハイリスクのみ)と男のHPVタイピング検査(コンジローマとハイリスク)を大変多くの方にご愛用いただいています。
HPVについて詳しく知ることで、子宮頸がんだけではなくいろいろな粘膜のがんから、一つでも多くの命が守られることを祈っています。
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記事監修
もかちゃん
臨床検査技師、細胞検査士、国際細胞検査士
国際細胞検査士の資格を活かし、日本とアメリカにて検査士として長年勤務。
海外の事情も知るからこそ出来る、日本とアメリカの子宮頸がんや性病に関する知識・医療体制の違いや性教育の違いについてなど、幅広く情報を発信しています。