細菌性膣症は膣の中の常在菌のバランスが乱れることによって起こってしまう炎症です。雑菌が増えてしまうことにより、炎症細胞や分泌物が増え、においのあるおりものの原因になるとされています。
細菌性膣症は性感染症ではありません。膣の中のバランスが崩れてしまっている状態です。だから、体調や膣付近の環境によっていつでも、誰にでも起こってしまうのです。
でも、そんな膣のバランスの乱れが早産につながってしまうって知っていましたか?
目次
妊娠中によくなる感染症
特に妊娠中は、普段は周期的に洗浄され(膣の自浄作用)リセットされていたものが、妊娠中独特のホルモンや生理が止まるという体の変化によって、膣の自浄作用は少し弱まってしまいます。
カンジダ症
妊娠中のホルモンは細胞内にグリコーゲンを溜め込みやすくするため、真菌(カンジダ)や雑菌が繁殖しやすくなってしまうのです。なので、妊娠中のカンジダ症はよく知られていますよね。
カンジダ症はカビの一種が細胞の中に根をはり、住み着いてしまう状態です。一般的には白いヨーグルト状のおりものや、強いかゆみがよく知られている症状です。
抗生剤を飲んだ後にもなりやすい感染症のひとつです。性病ではありません。
細菌性膣症
ここでもう一つ知って置いて欲しいのが、細菌性膣症。
普段はにおいの強いおりものの原因で、魚が腐ったようなにおいのおりものが特徴的。治療可能なので、おりものやにおいが気になったら検査をして治療することを勧めています。
あまりにもにおいが強くて、外に出たくなくなってしまったり、男性が離れていってしまったり、お仕事に支障が出たりなど、いろいろな生活にまで影響を及ぼすこともあると言われています。
でも、これも性病ではないのですよ。膣のバランスの乱れなだけ。何も恥ずかしいことではありません。体調や膣洗浄のしすぎなどで誰にでも起こってしまうことなのです。
今回は特に、妊娠中の細菌性膣症についてお話ししたいと思います。
妊娠中の細菌性膣症と早産
昨年の12月に参加した、日本性感染症学会での発表でのトピックだったのですが、妊娠中の細菌性膣症は早産の原因となる可能性があると言うことでした。
妊娠20週までに細菌性膣症であることが確認される人は妊婦さんの中の10%程度もいるそうです。そして、早産となってしまった人の3〜9%程度は細菌性膣症が確認されているようです。
数字を見ると、たいしたことないかな?と思ってしまうような数字かもしれません。でも、100人に3人から9人の妊婦さんが細菌性膣症だったがために、せっかく授かった大切な命を早い段階でこの世界に迎えてしまう危険や不安を経験してしまっているのかと思うと、他人事ではないと感じませんか?
細菌性膣症は治せます
細菌性膣症は、性病でも治らない病気でもありません。膣の中のバランスが崩れてしまっているだけなのです。何も恥ずかしいことではないですよ。
洗いすぎや市販品のクリームや石鹸などの使いすぎをやめて、少し静かにしておいてあげれば大抵の場合は自然と治っていきます。それでもダメなら、病院でちゃんと薬をもらって、決められた通りに服用していけばちゃんと治ります。
あれ?おりもの?におい?と気になったら、まず検査をして、クラミジアや淋病、性器マイコプラズマなどの性病ではないことを確認し、炎症や細菌性膣症の原因菌が膣の中で繁殖していないか、確認しましょう。そして、その検査結果に従って正しい治療を受けましょう。
妊活の一つとして細菌性膣症の検査と治療
もし、妊娠前から細菌性膣症の心配があるのであれば、できれば妊娠する前にちゃんとケアしておくのが一番いいですよね。妊娠してしまってからでは使える薬が限られてしまいます。
妊活、その一つとして、細菌性膣症の検査と治療を考えてみてくださいね。