男性にとっての子宮頸がんとはどのようなイメージがありますか?『子宮頸がんは女性特有病で、男の俺には関係ない!』と思っていませんか?
以前に子宮頸がんの啓蒙活動をしていたときに、男女問わず声かけをしていると、年配男性の多くは
『子宮頸がん???俺には関係ないだろ!』と笑い飛ばして立ち去ろうとしました。
『子宮頸がんの原因は男性からうつるウイルス感染がほとんどなのですよ〜』とその後ろ姿に声をかけると、『え????そうなの???』と立ち止まって話を聞いてくれる男性もちらほら。
中には困った顔をして、『奥さん、子宮頸がん検診に引っかかったって、、、あれ、俺のせいだったの?実はちょっと遊んじゃって、、、、』と真剣に悩まれてしまう方も。
今日はそんな『男性にとっての子宮頸がん』についてまとめてみたいと思います。
目次
男性と子宮頸がん
そもそも、どうして男性が子宮頸がんに関係しているのか、そこからお話ししますね。
子宮頸がんの95%以上はHPVというウイルスの感染がきっかけで起こります。HPVはとてもありふれたウイルスですが、その中でもハイリスク型と呼ばれるHPVが子宮頸がんに関係しています。
HPVに関しては、こちらの『HPVとは』のブログ記事も参考にしてみてくださいね。
HPVの感染が膣内、子宮頸部感染し続けること(持続感染)でゆっくりと細胞が変化してがんになっていきます。そのHPVを膣内や子宮頸部に届けてしまうのがセックスなのです。男性のペニスや性器付近にハイリスク型のHPVが感染している状態でセックスをすることで、女性の中に届けてしまうのです。
HPVが原因となっている子宮頸がんのうちの95%は自然発生するものではなく、HPVに感染したことが原因なのです。感染源はパートナーなのです。そう、それはあなたかも。
(子宮頸がんは性感染症ではありません。詳しくは『子宮頸がんと性感染症』をご覧ください。)
男もHPV感染でがんになるの?
なります。子宮頸がんにくれべて陰茎がんになる確率はとても低いですがなります。ペニスは子宮と違って体の外にある組織なので皮膚が強く、また簡単に洗うことができるので感染をしても持続感染にはならずにがんになりにくいです。でも、可能性はあります。そしてHPV感染でがんになるのはペニスや子宮だけではありません。
ハイリスク型のHPVは中咽頭がんや肛門がんの原因にもなることがわかっています。HPV感染は女性に子宮頸がんを起こすウイルスだから、男の俺には関係ない!と、もう思えないですよね。
咽頭などのHPV感染についてはこちらのブログも参考にしてみてくださいね。
子宮頸がん、男性ができること
大切なパートナーを子宮頸がんから守ることは、相手にHPVを感染させないこと。そのために今できることは二つ。ワクチンと定期的な検査です。
HPVワクチン
男性のHPVワクチンは日本でも認可されれましたが、まだまだ公費で9価*ワクチンが打てるようになるになるまでは時間がかかりそうです。でも、ワクチンを受けることで、パートナーの子宮と命を守れるだけでなく、自分も陰茎がん、中咽頭がん、肛門がん、その他のHPV関連がんから守ることができます。
男性のHPVワクチンの現状をまとめたブログも参考にしてみてくださいね。
アメリカでは9歳から12歳の定期接種として推奨されています。
男性も定期的にHPV検査を
もう一つの方法は、自分にハイリスクHPVの感染がないか確認することです。自分に感染がなければパートナーにうつしてしまうことも、自分がそのHPVでHPV関連がんになる心配もだいぶ無くなってきますよね。
男性のHPV検査はまだなかなか受けにくい状況ですが、アイラボでは自己採取で男性のHPV検査を承っております。過去のデータでもアイラボの検査で多くの方がハイリスクHPV感染を発見しています。
女性の子宮頸がん検診は2年に一度が推奨されています。男性も、それに合わせて定期的に検査していくことで、お互いの体を一緒に守っていくとってもいい習慣になるのではないかと思います。
男性はいぼがある方はこちらの男のHPVタイピング検査(コンジローマ+ハイリスク)がおすすめです。HPVは重複感染しやすいので、いぼ(コンジローマ型HPV)があるということはハイリスク型のHPV感染もある可能性があります。
いぼがない方はこちらの男のHPVタイピング検査(ハイリスク)をご利用くださいませ。
*ガーダシル9など9種類のHPVの型が入っているワクチンのうち2種類はコンジローマ(いぼ)の原因ウイルスでハイリスクHPVではありません。