HPVワクチン、アメリカでは今どのように扱われているのかをまとめてみました!
先日アメリカの小児科に、「HPVワクチンをティーンになる前(プレティーン)に受ける5つの理由」というとてもわかりやすい説明を見かけました。
基本的に、HPVワクチンはアメリカでは男女共に9歳から12歳までに2回の接種を終えることが推奨されています。詳しいCDCのガイドラインはこちらかからご覧になれます。
9歳から12歳にセックスで感染するHPVのワクチンを接種するなんて早すぎる気がしますよね。それではその5つの理由を見ていきましょう。
目次
#5 プレティーンは免疫力が強い
プレティーン(10−12歳)はティーン後半(16−19歳くらい)に比べて免疫力が高いので、ワクチンによってできる抗体の力も強いものが作られます。
それなので、12歳までに2回のHPVワクチンの接種を終えた場合は2回で完了になりますが、12歳以降に受けた場合は3回になることもあります。
#4 ワクチンを受ける期間に余裕がある
HPVワクチンは最低2回の接種が必要です。2回目の接種の推奨は1回目を受けてから半年から12ヶ月です。12歳になってしまってから受けるのでは、2回目の接種がギリギリになってしまい焦ってしまいます。
9歳や10歳と早いうちから始めれば、年に一回の健康診断の時にできるので、HPVワクチンのために時間を割いて小児科に行く必要もなく余裕を持って完了することができます。
#3 HPV感染がすでにある確率が低い
HPVワクチンはHPVの感染がないうちに2回の接種を終えることのみでその効果が発揮されます。ワクチン接種が終わる前にHPVに接触してしまうと、せっかくのワクチンの効果が有効的でなくなってしまいます。
ほとんどの9歳から12歳はHPVにさらされている可能性はないとされているので、その時期に2回のワクチンを受けて、完了させておくことが有効的です。
#2 長期持続が証明されています
現時点の研究において、HPVワクチンは9歳から12歳の間に2回の接種を終えていれば、今後ブースターを受けなくてもしっかりと免疫がついているということがわかっています。
American Cancer Society の報告によると、時間の経過と共にHPV抗体の現象は確認されていません。現在もHPVワクチン接種後の抗体レベルのモニターはされ続け、抗体が減ってきているためにブースターが必要かどうかの確認と研究は続けられています。
#1 子宮頸がんの前の病変の異形成にも効果的
プレティーンで2回の接種を完了させることによって、子宮頸がんだけでなく、同時に子宮頸がんの前の段階の異形成も予防することができる。(異形成もHPV感染によるものです。)
HPVワクチン、アメリカの今 まとめ
アメリカでは男女共にHPVワクチンは9歳から12歳の間に2回の接種を終えることが推奨されています。
子宮頸がんとはいえ、セックスにより感染するウイルスが原因となる以上、『女性特有病』というべきものではなくなってきています。男性も大きく関与して起きる病気です。
そして、HPV感染は子宮頸がんだけでなく、咽頭がんや肛門がん、陰茎がんなどの原因の一部にもなっていることがわかってきています。
オーラルセックスにより性器から喉に、喉から性器に感染するのはクラミジアや淋病などといった性感染症だけではありません。HPVも感染をし、その場にいついて持続感染した場合には喉でも、肛門でも、がんを起こします。
だから、HPVワクチンは女子だけでなく、男子も受けることに大きな意味があるのです。女子は自分の子宮ががんになってしまったり、それによって将来生まれてくる赤ちゃんを諦めなくてはならない、ということを少しでも避けたいですよね。
そして男子は、将来のパートナーを守るだけでなく、自分を守るためにも、男子もHPVワクチンを受けておくことがとても大切なのです。
ちなみにうちの5年生男子、先日の検診で2回目うち終わってこれで完了です。4年生の検診の時に主治医にしっかりと説明してもらい、自分でも質問をした上で、自分で受けると決めました。今回も、『あの注射は本当に痛くてやだけど、でもこれで終わりだから頑張るよ。将来結婚したり子供できたりしないかもだけど。。。』と自分で納得して受けていました。
でも痛いと怒っていましたが(笑)、次の日はけろっと元気に学校に行きました!
4年生の時の記事はこちら『アメリカではHPVワクチンは「9歳から12歳まで、男女ともに」を推奨』の記事を是非ご覧ください。親から、そしてHPVワクチンを検討している子供本人からの医師への質問と、それに対する医師の返事のレポートです。
HPVワクチンを受けていないみなさんにできること
HPVワクチンを定期接種で受ける機会を逃した、という若い女性も多くいらっしゃいます。そして、日本ではまだ男子の定期接種が認められたばかりです。先進国としてとても遅れています。
そんなみなさんはHPV感染や子宮頸がんに関してどのように予防していくのが良いのでしょうか。
セックス未経験はHPVワクチンが受けられるかも
まだセックスの経験がない、つまりHPV感染をしている可能性がないという場合は、定期接種の年齢を過ぎてしまってもまだ受けられるか、主治医に相談してみましょう。残念ながら自費にはなってしまいますが、受けられるかもしれません。
定期的な子宮頸がん検診
定期的な子宮頸がん検診を受けることで、子宮頸がんになる前の異形成の段階で見つけ、対処できるようにしましょう。
セックスをするようになったら、数年に一度は細胞診検査を必ず受けましょう。ハイリスクHPV検査も同時にしておくと、さらに安心です。
自分でできる自己採取式の子宮頸がん細胞診検査です。
タンポンのような形の優しい検査器具で、自分で自宅でリラックスしてできます。
なかなか病院に行けない、診察台が恥ずかしいなどといった理由で子宮頸がん検査を受けられていない方はこちらの検査から始めましょう。
Kit001 子宮頸がん検査の詳細はこちらから
子宮頸がん細胞診検査に加えて、ハイリスクHPV13種類のどの型に感染しているのかを調べます。
以前に細胞診検査で異常があったり、HPV感染があった方におすすめです。
Kit007 子宮頸がん+HPVタイピング検査の詳細はこちらから
男性も定期的にHPV検査でパートナーを守る
男性は子宮頸がん検診のように定期検診がないのでなかなか難しいですが、男性も定期的にHPV検査をすることで大切なパートナーを守ることができますね。
子宮頸がんや陰茎がん、咽頭がんの主因であるハイリスクHPVのタイピング検査です。
13種類のハイリスクHPVのどの型に感染しているか調べます。
パートナーの女性の細胞診で異常があったり、ハイリスクHPVの感染が確認された方は、自分もどの型に感染しているのかを調べることによって、お互いの持続感染の確認をすることができます