男性がHPVに感染しても、子宮がないから子宮頸がんになることもないし、男には関係ないでしょ?と思っているあなた!危険です!
HPVは男性にとってもがんの原因となることがあります。
今日は男性のみなさん、『俺にはHPVは関係ないぞ!』ということのないようにHPVについてぜひ学んで帰ってくださいね。
目次
男性がなるHPV関連がん
HPV関連がんとは、HPVの感染があったことが原因で起きるがんのことを言います。
男性のHPV感染は挿入、すまた、アナルセックス、オーラルセックスなどの性行為により感染する可能性があります。
代表的なHPV関連がん(男性)
陰茎がん:ペニスの皮膚にHPVが感染することによりがんになることがあります。
肛門がん:肛門にHPVが感染することでがんになることがあります。
中咽頭癌:のどにHPVが感染することでがんになることがあります。
HPV関連がんとされる子宮頸がんも、陰茎がんも、肛門がんも、中咽頭がんも、全てがHPVが原因ではなく、HPVの感染がなくてもがんになるタイプもあります。
でも、HPV関連がんに関しては『HPVの感染がなかったらならずに済んだがん』ということになり、これはどうにか予防や早期の対処ができるのではないか、と思いませんか?
男性のHPV感染の症状
HPV感染には尖圭コンジローマタイプとハイリスクタイプがあります。
尖圭コンジローマタイプはいわゆるイボができるタイプで、このタイプのHPVに感染したことによってがんになることはほぼないとされています。また、イボができるので症状がわかりやすく気がつきやすい感染になります。
一方ハイリスクタイプはイボなどわかりやすい症状がありません。皮膚の表面、目の見えないレベルで感染して広がっているからです。稀に皮膚の違和感や痒みが見られることがある程度です。
ただ、HPVは重複感染しやすいウイルスです。つまり、イボになるタイプのHPVの影にハイリスクのHPV感染が隠れていることが多くあります。イボだから大丈夫、と安心せずにイボがあるからハイリスクもあるかも?と思うようにしましょう。
男性のHPV検査
ハイリスク型のHPVはイボになる尖圭コンジローマと違い症状がほぼありません。症状がないとどうやって検査をすればいいのか、と思いますよね。でも、実際アイラボで男性のHPV検査を受けている方々は、『何となくここが、、、』という不安があって検査を受けられます。
その『何となくここが、、、』の直感は何か感じるからなのです。数年前にアイラボが集計した結果、『何となくここが、、、』とか、パートナーにHPV感染が見つかったからという理由で検査を受けられた男性の何と25%にハイリスク型の感染が見つかりました。
詳しくはこちらの記事、『男性のHPV検査、ちゃんとできてます』を読んでみてください。
パートナーを子宮頸がんや肛門がん、中咽頭癌などのHPV関連がんから守るためだけでなく、自分をHPV関連がんから守るためにも、HPVの感染があるかどうか確認していくことは大切ですね。特に男性は女性の『子宮頸がん検診』のように定期的に確認するチャンスがないので自主的に検査していくことをお勧めします。
HPV感染=がんではありません
ここまでHPV感染はがん!のように説明してきてしまいましたが、HPV感染はあくまでもウイルス感染であって、感染=がんではありません。
90%以上のHPV感染は自分の免疫力で自然に排除されていきます。つまり、HPV感染があってもがんにならずに消えていってしまうことがほとんどなのです。
なぜ検査をすることが大切なのかというと、HPVがずっと感染していない確認することが大切だからです。HPV感染がある間はパートナーに感染させてしまう可能性があります。お互いにHPVを保有していることでピンポン感染をくりかえし、ずっとウイルスが感染している状態が続いてしまうこと、これを持続感染と言います。この持続感染こそががんのはじまりなのです。
だから、がんを見つけるのではなくHPV感染を見つけることによってがんの予防、早期発見ができることになります。
男性のHPV感染の予防
多くの性感染症はコンドームを使うことで予防効果がありますが、残念ながらHPV感染に関してはコンドームでの予防はあまり期待できません。使わないよりは多少の予防効果はありますが、他の性感染症と違って肌の上に存在するウイルスなのでコンドームだけでは肌の接触は全てブロックすることはできません。
一番効果的な予防は男性もHPVのワクチンを受けることです。現在のHPVワクチンは9価ワクチンで2種類の尖圭コンジローマタイプのHPVと7種類のハイリスクHPVが含まれています。
ハイリスクHPVは15種類は少なくともあるとされていることから7種類では半分程度の効果なのでは?と思われるかもしれませんが、この7種類のHPVのうちの2種、16型と18型がほぼメインのハイリスク型とされています。日本産婦人科学会のウエブサイトによると16型と18型のワクチンだけでも93.9%の有効性があります。7種類のハイリスクがカバーされているワクチンだとさらに有効性は高いです。
ワクチンに関しての賛否は個人差があります。親だけが決めるのではなく、これから生きていく子供本人の意見もしっかりと受け止めて、家族にとって一番の方法を選んでいくのがいいですね。
おすすめの検査キット
こちらの記事を読んで気になった方へのおすすめ検査キットはこちらです。
自宅でご自身で採取出来、病院に行けなくても安心して検査が受けられます。
記事監修
もかちゃん
臨床検査技師、細胞検査士、国際細胞検査士
国際細胞検査士の資格を活かし、日本とアメリカにて検査士として長年勤務。
海外の事情も知るからこそ出来る、日本とアメリカの子宮頸がんや性病に関する知識・医療体制の違いや性教育の違いについてなど、幅広く情報を発信しています。