子宮頸がんの原因となるHPV。子宮頸がん検診を受けない女性を子宮頸がんから少しでも救いたいという思いで、せめて自己採取でHPVの検査だけでも受けてほしいという方向に向かっている今日この頃。
その自己採取によるHPV検査の場合、より効果的なタイミングがあるの?病院での検査と何が違うの?
今日はそんなことについてお話ししてみようかなと思います。
目次
自己採取HPV検査を受けるタイミング
先日行われた日本臨床細胞学会で、どうやら自己採取でHPV検査を受ける場合はより効果的に検査ができるタイミングがあるという発表がありました。
ポイントは増殖期後期
増殖期後期と言われてもピンとこないですよね。
これは生理によるホルモンの周期のことです。生理の周期は月経⇨増殖期⇨排卵⇨分泌期⇨月経というサイクルになっています。
によると、一番効果的な採取の時期は増殖期後期から分泌期初期、つまり排卵の前後ということです。
以前にご紹介した『キラキラ期以外の性周期もキレイに乗り切ろう』での性周期の説明で言うと、キラキラ期の終わり頃が一番いい時期になります。生理がしっかりと終わってお肌も髪も艶々の時期です。その時期からアンバランス期に入るまでの間が一番効果的なんだとか。
HPVってなに?子宮頸がんとHPV、何が違うの?
子宮頸がんはがんです。年間に約3,000人の女性が子宮頸がんで大切な命を失っています。
HPVはウイルス感染です。感染症です。90%の女性が一生のうちに少なくとも一度は感染していると言われるくらい、誰にでもある一般的な感染症です。
HPV感染はインフルエンザのように感染して、体の免疫が働いて自然に体から排除されていく場合がほとんどです。90%程度のHPV感染は気がつかない間に自然に治ってしまっています。稀に(10%程度)が持続感染を起こし、がんへと変化してしまいます。それでもHPV感染の段階で発見することで、がんになる前に処置することができます。
HPV感染の段階で感染を見つけることと、子宮頸がんになってしまってから見つけることには大きな違いがありますよね。
自己採取HPV検査、排卵前後が効果的な理由
自己採取で採取される検査材料になる細胞の多くは、膣の中に溜まっている自然に剥がれ落ちた細胞の中にいるHPV。
先程の論文によると、自己採取HPV検査が排卵前後に効果的な理由は以下のような理由になっています。
生理中や生理直後は、生理によって洗い流され溜まっている細胞が少ない
キラキラ期は増殖期と言って、新しい細胞がどんどん増えて新しい組織を作っていく時期。そのため、特に増殖期初期は細胞が剥がれにくい。
この時期以外でもちゃんと検査ができないわけではないのですが、この時期が一番HPVを含んだ細胞が増えている時期となるようです。
それを考えると、自己採取検査前はやはり膣洗浄やセックスも控えるのが良いですね。
自己採取と医師採取のHPV検査の違い
自己採取では主に膣の中に出ている部分の子宮頸部を擦ってとった細胞と、膣に中に剥がれて溜まっている子宮頸部からの細胞を使って検査します。
病院で医師採取で検査する場合には、器具を使ってさらに子宮頸部の内部までブラシなどを入れて細胞を採取してきます。
そのため、病院で医師採取で検査する場合には剥がれた細胞が溜まっているかいないかはあまり影響がないので、基本的に生理中以外は検査するのにタイミングは関係ありません。
自己採取HPV検査から始める子宮頸がん検査
日本での子宮頸がん検査の受診率は40%程度と、先進国に比べると驚く低く『当たり前の検査』になっていないのが現状です。特に、セックスを最も盛んにする20代の受診率は20%強ととても低く、ワクチンも普及していないため、今の20代女性はとても危険な状態にあります。
自治体の検診や職域検診をうまく利用してなるべく2年に一度は子宮頸がん検査を受けてほしいところですが、なかなか抵抗感が拭えません。
子宮頸がん検診に抵抗があって受けていないのであれば、まずは自分でできるHPV自己採取検査でハイリスク(がんになるタイプ)のHPV感染がないことだけでもチェックしておきましょう。
もしも、自己検査でハイリスクHPV感染が見つかったら、きっと病院にいく勇気もうまれてくるはず。
まずは自宅から始める簡単検査、あなたも始めてみませんか?アイラボでは自己採取でのHPV検査を行っています。あなたが勇気を出して採取した細胞を少しでも多く利用して検査をするように、大事に大事にその検体を処理しています。安心して検査を受けていただけたらと思います。
HPV検査が含まれる検査を受ける際は、キラキラ期後半を狙って検査を受けていきましょう!
おすすめの検査キット
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自宅でご自身で採取出来、病院に行けなくても安心して検査が受けられます。
記事監修
もかちゃん
臨床検査技師、細胞検査士、国際細胞検査士
国際細胞検査士の資格を活かし、日本とアメリカにて検査士として長年勤務。
海外の事情も知るからこそ出来る、日本とアメリカの子宮頸がんや性病に関する知識・医療体制の違いや性教育の違いについてなど、幅広く情報を発信しています。