結婚をしてからなかなか妊娠できない。そんな時の検査で過去のクラミジア感染が原因かもしれないということが判明することがあります。
過去のクラミジア感染がどのように不妊症という結果になってしまうのでしょうか?
クラミジアという病原体は性行為により人から人にうつります。うつったクラミジアは細胞の中に入り込み、細胞質で増殖を始めます。
目次
クラミジア感染は炎症へと
クラミジアが感染した細胞を免疫で排除しようとする体の力により、免疫細胞が集まってきます。そして攻撃を始めます。この状態がいわゆる炎症を起こしている状態で、皮膚の表面で起きているときは赤くなったり、患部が熱くなったりすることもあります。
通常の雑菌などによる炎症の場合は、病原体が排除されると免疫細胞も解散し、炎症が落ち着いていきます。
ところがクラミジアや淋病といった性感染症の場合は体の免疫力だけでは排除しきれずに、薬による治療が必要になってきます。クラミジアが体の中にいる限り体の免疫機能が排除しようと反応し続けるので、感染部位に炎症を起こし続けていることになり、治療するまで慢性炎症が続きます。
クラミジアは感染部位が体の内側に向かって広がっていくので、女性は膣から子宮、卵管へと炎症も広がっていきます。男性は尿道から精管、精巣へと広がります。
クラミジアによる慢性炎症と不妊症の関係
クラミジアの症状はとても少ないので、クラミジアに感染していると気がつかないまま長い時間が経ってしまうことが多くあります。症状はなくても感染がある限り、炎症は続いています。
炎症が続いていても、体が攻撃しているだけで、痛くも痒くもなければ問題はないのでは?と思いますよね。でも、慢性の炎症になってくると、組織が硬くなったり、炎症に耐えようと細胞が変化を始めてしまうのです。それが不妊へとつながってしまう原因です。
女性の不妊
一番炎症に弱く、クラミジアによる変化を受けやすいのは卵管の繊毛(卵を卵巣から子宮へ一方方向へ運ぶための毛)です。炎症を繰り返すことにより、繊毛を持った細胞が強くなろうとすることで毛を失ってしまいます。
卵子を送るための毛がなくなってしまうと、卵巣から子宮へと卵子が届かなくなってしまうので子宮外妊娠や不妊になってしまうのです。
また、炎症により粘膜が厚くなって卵管が狭くなったり、子宮内に強い炎症が起きていることで、着床しにくくなってしまうこともあります。
男性の不妊
クラミジアの感染とそれによる炎症が精巣まで広がってしまうと、精巣内で炎症が起き始めます。炎症が起きている状態では健康な精子が作られなくなってしまうことがあります。そして、元気な精子が作れなかったり、精子の量が減ってしまうことによって不妊となってしまいます。
クラミジアによる不妊症を防ぐために今できること
クラミジアは症状がとても少ないです。
男性の場合、ウミのような分泌物が尿道から出てきて排尿痛もあり、わかりやすい人も中にはいますが、半数近くがほぼ無症状出来がつかないことが多いです。女性は常におりものが多少なりともあることより、さらに症状として捉えにくくなります。尿道ではなく膣や子宮に感染するので排尿痛もありません。お腹が痛いかなと思っても、生理痛や排卵痛、便秘など、その他の痛みが原因と思ってしまうことが多く、クラミジアの症状とまず思うことはありません。
「症状がないので気がつかなかった」とそのままにしてしまうのか、それとも、「万が一クラミジアに感染してたら、不妊になってしまうかもしれない」としっかりと認識して不安な時や、相手が変わるタイミングで検査をしていくのかで大きな違いが出てきます。
「将来子供が欲しい!」 そう思っていても、全ての人が子供を授かれるわけではありません。そして、その理由もクラミジアや淋病といった性感染症、子宮頸がんなどだけではなく、筋腫やホルモン異常、卵子や精子の未発達、タイミング、いろいろ原因はあり、残念ながら全てが今何かすれば絶対に妊娠できる体でいられる、ということではありません。
実は私も、片方の卵管が細くて卵子が通れるぎりぎり、もう片方は筋腫で潰されている状態で、不妊治療を何年も続けました。クラミジアにかかったことがなくても、子供を授かることは奇跡だと思います。
でも、クラミジアによる慢性炎症による不妊や子宮頸がんによる妊娠の中止などはならないように、今できることがあります。今ちゃんと理解して行動することで、子宮や卵管、卵巣、精巣を性感染症による慢性炎症から救うことができます。
症状がなくても、定期的に検査、もしくはパートナーが変わるときにはしっかりと検査をして、男性も女性も、クラミジアによる慢性炎症によって妊娠ができない体になってしまうことはちゃんと防げるのです。感染症は検査することによってせめても、ちゃんと自分でコントロールできることなのです。
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記事監修
もかちゃん
臨床検査技師、細胞検査士、国際細胞検査士
国際細胞検査士の資格を活かし、日本とアメリカにて検査士として長年勤務。
海外の事情も知るからこそ出来る、日本とアメリカの子宮頸がんや性病に関する知識・医療体制の違いや性教育の違いについてなど、幅広く情報を発信しています。