クラミジアについて
クラミジアは性感染症(性病)を代表する病気です。
クラミジアとは
*オーラルセックスやアナルセックスを含むセックスにより感染
*治療・完治してもまた再感染する
*感染していても症状が出ないこともある(特に咽頭と女性)
*放置してしまうと子宮や卵管、精巣の慢性炎症が続き、女性も男性も不妊症やHIVなどのリスクが
*きちんと治療すれば完治できる
クラミジア感染予防
セックスをする限り、クラミジアの感染予防を完全にすることはできません。少しでもリスクを下げるために以下のことを心がけてみましょう。
*不特定多数のパートナーとセックスをせず、特定のパートナーとのみセックスをする
*セックス前にお互い性感染症(性病)検査をして感染がないことを確認する
*コンドームをなるべく早い段階で着用する(フェラチオやクンニ、すまたでも感染します)
クラミジアの症状
男性の症状
男性のクラミジア感染は尿道炎を起こします。
多くの場合は自覚症状が軽い(ほぼ無症状)のでそのまま放置してしまい、感染を広めてしまう危険性があります。
クラミジアによる尿道炎は、淋菌による尿道炎ほど排尿痛はひどくなりませんが、症状が出る場合は感染後1~2週間が経ったころから尿道の違和感や軽い痛み、かゆみなどの不快感を訴えるようになり、ペニスを根元から亀頭に向けてしごくとネバネバした膿みがでてくることもあります。
尿道のかゆみ・不快感・違和感・痛み
膿み
微熱
無症状
女性の症状
女性のクラミジア感染は膣炎、子宮頸管炎を起こします。男性よりも更に症状が現れにくく、かなり長い期間クラミジアの感染に気付かないことも稀ではありません。
さらさらした水っぽいおりものが増える
性交後の軽い出血
性交痛
下腹部の痛み
不正出血
無症状
女性性器クラミジアが引き起こす合併症
クラミジアは、子宮の入り口の細胞に感染し、そこで増殖を繰り返すので慢性的に炎症を起こしている状態になります。
さらに、クラミジアの感染が広がると、子宮内膜炎による不正性器出血・流産・早産、卵管炎に伴う卵管の癒着(ゆちゃく)や卵管が閉じてしまうことによる不妊症や子宮外妊娠、さらに腹腔内への感染の広がりによる肝周囲炎等、様々な合併症を引き起こします。
クラミジアによる不正出血
- 炎症が引き金
クラミジア感染により粘膜が炎症を起こし出血しやすい - 妊娠に関係したもの
クラミジア感染により子宮外妊娠、流産を起こし出血
クラミジア感染による不妊症や子宮外妊娠
- 着床できない
子宮内膜に炎症があるために、受精卵が着床できずに不妊症になる - 受精できない
炎症が起こると受精卵を運ぶ役目の線毛がなくなり、卵管に癒着(ゆちゃく)が起きて狭くなるので、精子が通過できないため不妊症になる - 子宮外妊娠
受精卵が卵管の癒着部分を通過できずに、卵管内に着床してしまい子宮外妊娠をしてしまう
肝周囲炎(フィッツ ヒュー カーチス症候群)とは
クラミジアは先ず子宮の入り口の子宮頸部の細胞に感染しますが、徐々に子宮体部→卵管→腹腔へと広がります。おなかの中に広がると肝臓表面に達し、そこで炎症を起こします。
それが肝周囲炎(フィッツ ヒュー カーチス症候群)で、急激なとても激しい腹痛を起こします。
この状態まで症状がなく、肝周囲炎による緊急診療でクラミジア感染が発覚することが多くあります。
産道感染
出産の時に母親がクラミジアに感染していると、赤ちゃんが産道(膣)を通る時に感染して結膜炎や鼻炎、肺炎を起こします。そのため、通常はお産の前に感染があるかどうか検査をします。感染がある場合は出産前に治療します。
のどの症状
のどのクラミジア感染では咽頭炎を起こします。性器よりもさらに症状が乏しく、気がつかないことがとても多いので、オーラルセックスにより感染が広がる、もしくは再感染してしまうことがあります。
のどの痛み、腫れ
無症状
クラミジアの原因・経路
外陰部、陰茎や亀頭部分は皮膚と同じ重層扁平上皮(じゅうそうへんぺいじょうひ)という強い皮膚で覆われているので、クラミジアは感染しにくい環境です。それに比べ膣や尿道の中にある粘膜はとても弱い細胞なのでクラミジアは感染しやすい環境です。
クラミジアは他の病原体と違い、細胞の表面で繁殖するのではなく、細胞の中に入り込んで、72時間(3日)かけて増えます。
3日ごとに増殖を繰り返すので、尿道全体に広がったり、女性の場合は徐々に子宮頸部からさらに奥の子宮内膜や卵管、最終的には腹腔へと上向きに感染が広がっていきます。
感染経路は尿道口や膣、咽頭の粘膜にクラミジアが付着することなので、コンドームなしのセックスは勿論のこと、フェラやすまたという行為も感染の危険性があります。
セックスをする限り、クラミジアの感染予防を完全にすることはできません。少しでもリスクを下げるために以下のことを心がけてみましょう。
*不特定多数のパートナーとセックスをせず、特定のパートナーとのみセックスをする
*セックス前にお互い性感染症(性病)検査をして感染がないことを確認する
*コンドームをなるべく早い段階で着用する(フェラチオやクンニ、すまたでも感染します)
クラミジアの検査
検査のタイミング
症状がある場合
今すぐに検査可能です
症状がない場合
心配な行為があってから1~2週間経ってから
検査方法
クラミジアの検査材料
男性尿道:尿道ぬぐい液、尿(初尿)
女性:膣ぬぐい液
咽頭:うがい液、喉ぬぐい液
病院でのクラミジア検査
医師の指示に従って検査材料の採取をします。採取された検査材料は検査機関で検査が行われます。症状がある場合は健康保険の適用になる場合もありますが、症状がない場合は健康保険の適用にならない場合もあります。
保健所でのクラミジアの検査
担当者の指示に従って検査材料の採取をします。採取された検査材料は検査機関で検査が行われます。ほとんどの保健所で無料で検査が受けられます。
アイラボの検査キットでクラミジアの検査
検査キットを使って自分で分泌液や尿、うがい液などの検査材料をとります。その検査材料をアイラボに送り、検査します。アイラボは病院からの検査も請け負っている登録検査所なのでご安心ください。
男性の場合、尿道分泌物(膿み)がある場合、膿のなかにクラミジアは大量に存在するため、できれば朝一番の排尿前に尿道に溜まった分泌物をとって調べるのが一番よい検査材料が取れます。
尿で調べる時は、採取までに2時間以上排尿していない事、出始めの尿(初尿)を採取することが極めて重要です。初尿をしっかり取れないで中間尿を多く採取してしまうと、クラミジアの量が減ってしまい検査の感度は低下します。
病院や保健所で採取する場合は特に採取までに2時間以上排尿していない事、出始めの尿(初尿)を採取すること気をつけましょう。
クラミジアの検査ができるアイラボの検査キット
女性用:
おりもの&においの検査
婦人科トータルセルフチェック
オシャレな貴女のパスポート(膣と咽頭の検査ができます)
男性用:
男のリン・クラチェック
尿道と咽頭のリン・クラチェック(尿道と咽頭の検査ができます)
男のパスポート(尿道と咽頭の検査ができます)
咽頭用:
クラミジアの治療法
マクロライド系抗生物質(ジスロマック、ジスロマックSR、エリスロマイシン、クラリス、クラリシッド)
ジスロマックの成分一般名はアジスロマイシンで、新しい抗生物質です。
その特徴は以下の通りで、現在クラミジアの治療薬として最も使われています。
- エリスロマイシンにみられる胃酸による不活化を受けない。
- 感染部位で高い抗菌濃度が保たれる。
- 血中半減期が長いため、1日1回3日間の服用で1週間から2週間効果が持続する。
- 抗菌作用のみならず抗炎症作用もある。
キノロン系抗菌剤(クラビット、タリビット、アベロック)
テトラサイクリン系抗生物質(ミノマイシン、ビブラマイシン、アクロマイシン)
*特にのどの治療には薬の効果が出にくく完治まで時間がかかります。しっかりと根気強く治しましょう。
(日本性感染症学会 性感染症 診断・治療ガイドライン2016、CDC参照)