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夏目亜希さんの子宮頸がん

夏目亜希 子宮頸がん

「がんになって思ったのは、この経験を伝えていかないといけないということ。私の周りの同年代の人たちも、どこか他人事で実態を知らない。子どもを産めなくなるかもしれない。すぐ治るんじゃないか、がんと言っても軽いものなんじゃないの?なんて思っている人もいる」

そして何よりも「将来を失う怖さがある病気だと、伝えたい。定期的に検査することや、好発するHPVの型に効くワクチンがあるということを、しっかり知識として持っていればと思う。そして、こういう話を当たり前の話としてできるような社会になってほしい」と願う。

写真と文の引用:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181108-00010003-huffpost-soci&p=1

夏目亜希さんの子宮頸がん

28歳のアイドル、夏目亜希さんが23歳の時に子宮頸がんであることを知り、心身ともに戦ってきた様子を公表してくれました。

この記事にも書かれているように、アイドルに処女性を求める日本の文化。このようなことが発覚すると、すぐにバッシングしなければ気が済まない人たちは、本当に心が寂しい人たちだと思う。

夏目さんは、一生懸命に伝えてくれようとしています。自分が辛いことを言われても、恥ずかしい思いをしても、自分のような思いをする人が一人でも少なくなってほしい、という気持ちを盾に頑張って伝えてくれています。

傷つけるようなことを言うなら、その口を閉じている、コメントを入力するその指を止めてその批判な言葉を飲み込む勇気、それすらもないのでしょうかね。そんなコメントにもめげずに伝えてくれようとしている夏目さんの勇気、比べ物にならない強さです。

アイラボでも、子宮頸がん検査の大切さ、20代でも人ごとではないこと、ずっと伝え続けています。企業健診でも、15歳以上で性経験のある人には是非受けさせてあげてくださいと訴えています。

 

子宮頸がん=遊んでいる、なの?

20代で子宮頸がんになったのは、遊んでいるからじゃありません。たった一回の感染だって、その人の体力と、免疫力と、いろいろな環境次第では持続感染してしまう。夏目さんのように持病のある方はなおさらだと思います。

そして、夏目さんがどうこうではなく一般的には、遊んでいるからではなく、同じ相手とずっと一緒にいたからこそ持続感染してしまったのでは、とむしろ考えられるのではないでしょうか?正しい知識を持つ、ということはそういうことだと思います。正しい知識を持たずに批判するのは、間違っています。

一般的に、ウイルス感染してから7〜10年の持続感染でがんになる、と言われています。今の時代、高校生で初体験はもう当たり前のようなのではないでしょうか。

16歳で初体験、7年後は何歳でしょう。23歳です。あなたも、人ごとではないのです。20代でもがんになる可能性は十分にあるのです。

そして、若い元気な体では、がん細胞も元気で、その進行が早いのかもしれないとも言われています。だから、エッチをするようになったら子宮頸がんの検査をする、これがとても大事なのです。

 

高度異形成IIIbとステージIB1

以前のブログ、子宮頸がんYES/NOクイズ!解答編でも説明しましたが、子宮頸がんはその主因とされているHPVの感染の段階で見つけられるがんです。

つまり、がんになる前のウイルス感染で発見、処置することができるがんなのです。だから、がんにならない子宮頸がん、なのです。

 

高度異形成IIIbとは

高度異形成とはそのHPVウイルス感染ががんになる前の最終段階の状態です。子宮頸部の細胞が異形を示し、がんになる直前の状態です。この状態で見つけられれば、記事の中でも言われているように「まだがんではない」のです。

ちなみに、IIIbというのはパパニコロウ分類というちょっと古い細胞診の分類で、今はベセスダシステムという診断基準になっています。高度異形成(パパニコロウ分類のIIIb)はベセスダシステムではHSILという本当にがんの一歩手前であることがわかると思います。

この段階では、円錐切除と言われる子宮頸部の一部を円錐状に切りとる手術で済むので、子宮は温存することができ、将来子供が産める可能性もじゅうぶんに残ります。

 

がん進行期分類IB1

2回目の診断IB1というのは、今度はがんの進行期分類になります。いわゆる、「がん」です。

夏目さんのIB1は浸潤癌ですので子宮頸部の円錐切除だけでは再発の危険が高いので、一般的に全摘出、放射線療法、化学療法が適応になってしまいます。

子宮頸がん臨床期分類

 

高度異形成になるまでに見つけて欲しかった

ASC-US(アスカス)、LSIL(ローシル)の段階で見つかってもまだ手術にもなりません。HSIL(ハイシル)にならないように定期検診を受け、免疫による自然消滅を確認していくだけです。もし、HSILになってしまったら、まだ小さいうちに円錐切除をします。

夏目さんは持病のため、不正出血というサインがあったにも関わらず、検査をせずに月日が経ってしまったことが本当に残念でなりません。もっと早く検査を受けていれば、、、

主治医の先生や周りの人に、もっとはやく不正出血のことを打ち明けられたら、高度異形成、もしくはもっと早い段階で見つけられたかもしれない。

性について、活発なくせに語れないこの日本の文化、本当にどうにかしたいものです。それが、夏目さんの言葉にとっても強く現れています。私たちもずっと訴え続けているので、夏目さんのこの勇気ある行動を応援したいです。

 

夏目亜希さんの子宮頸がん まとめ

今回の夏目さんの勇気ある公表、心から応援します。そして、一人でも多くの人が、批判しているよりも学んでほしいと思います。

女性の80%は一生のうちにHPVに一度は感染すること、そしてその主因となるウイルスは男性からうつること。

ちなみに、ワクチンに関して軽く触れておきますが、ワクチンで予防できるのはハイリスク型のうちの16型と18型の2種類だけ。子宮頸がんの原因になるとされているHPVの型は15種類以上あると言われています。

ワクチンを受けたから検査をしなくていい、というのは間違えです。ワクチンを受けていても、80%程度しか予防できません。エッチをするなら年に一度は子宮頸がん検査(細胞診)、ワクチンを受けていてもいなくても、これに変わりはありません。

ヒトパピローマウイルス、恥ずかしくないのブログでも紹介したように、正しい知識を持っている人はたくさんいらっしゃいます。一人でも多くの方が、このように正しい知識を持って、正しい行動をしていってくれたら、子宮頸がんは撲滅できるのではないかと思います。

その一歩を踏み出すために、今日、今すぐ、検査しましょう!病院に行くのでもいい、自分で検査でもいい。いますぐ!!!

男性も無関係ではないですよ!!!!男性も今すぐ検査!!!

記事監修

もかちゃん

もかちゃん
臨床検査技師、細胞検査士、国際細胞検査士

国際細胞検査士の資格を活かし、日本とアメリカにて検査士として長年勤務。
海外の事情も知るからこそ出来る、日本とアメリカの子宮頸がんや性病に関する知識・医療体制の違いや性教育の違いについてなど、幅広く情報を発信しています。

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