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子宮頸がんと遺伝子学

検査士ダイアリー エコノミスト the world in 2015

 

ちょっと昔に読んだ記事なのですが、2015年のThe Economist ”The world in 2015″ (エコノミスト、2015世界はこうなる)の中のNatasha LoderのGenes; unzippedという記事のことをふと思い出しました。

ここ数年で遺伝子学で解読されるゲノム数が急激に増えていること。そして、2015年にはその数が倍増することなど書かれていました。その遺伝子学の発展により一番恩恵を受けるのは妊婦さんということ。不妊症とか、胎児の遺伝異常などをより早く見つけられるとか。

その記事で私が一番印象的だったのは当時の記事から3〜5年後、つまり2018年から2020年くらいには

腫瘍のゲノム配列を読解することを日常的に行われるようになるだろう。10年のうちに、がんは短期で死に至るケースとは多い現状とは正反対の慢性病になるだろう。

(The economist, The world in 2015, p.160 Genes; unzipped written by Natasha Loder)

と語っていたことです。実際、子宮頸がんについてはとても近い状態だと思います。

 

子宮頸がんへの遺伝子学の使われ方

私が渡米した2000年当時は子宮頸がんを起こすハイリスク型のHPVは16と18型でもしかしたら33型など他にもあるかも、という程度だったのが今は少なくても13種、実際はもっと多くの子宮頸がんに関係するHPV型がどんどん見つかっています。

そして、もちろん遺伝子検査でそのウイルスの存在を確認することができます。HPVに感染しているかだけでなく、どのタイプに感染しているのかまでしっかりと検査できるのです。HPVは多くの場合、自然に体の免疫システムにより排除されて行くのがほとんどです。ただ、繰り返し感染すること(持続感染)によって、細胞が異変を生じ始め、数年かけてがんへと進行して行くのです。

したがって、あとは持続感染していないことを確認すること、細胞が異常を示し始めてきたら、がんになる前に処置をすることさえ徹底できれば、子宮頸がんはがんになる前に発見、処置することができます。と言うことは、Loderが言う通り、死に至るがんではなくウイルス感染という慢性病でしかないですよね。

女性だけでなく、男性だって子宮頸がんを慢性病に変えられる力を持っているのです。男性がハイリスク型のHPVを女性に感染させることによって、女性は子宮頸がんになってしまうリスクを負ってしまうのです。男性には今の所がんを起こすとは滅多にないと言われているこのハイリスク型のHPV。男性は感染し、ウイルスを持っていても発症しないため、症状もなく何も知らないまま女性へ移してしまうのです。

彼女や奥さん、いつも同じ相手に落ち着いている方こそ、一度HPVハイリスクの検査をしてほしいと思います。なぜなら、男性がそのウイルスを持っていると、セックスのたびにそのHPVは女性に移り、持続感染になってしまうからです。男性がしっかり検査をして、自分はその危険がないことを知っていれば、大切なお相手をがんで苦しませてしまわずにすみますよね。もし、検査をして自分がそのウイルスを持っているのなら、お相手にもマメに検査をしてもらい、持続感染がないこと、もしくは持続感染があるけど細胞が異変を起こしていないことをしっかり把握さえしていけばいいのです。

そして何よりも大事なのは、検査を受けること。検査を受けなければ、せっかく慢性病で済ませられることも、がんへと進んでしまうのです。相手を大事に思いやるからこそ、自分のことをしっかりと知る、これも愛だと思います。

 

遺伝子検査だけで子宮頸がんから守れるの?

今世の中はその方向に向かっているかと思います。でも、私たちはそう思いません。なぜかと言うと、先ほどもお話ししたように、子宮頸がんに関わっていると思われるHPVの型はどんどん増え続けているからです。13種の検査をして、何もなかった。でも実際細胞を見て見たら、異常細胞が見つかった。そんなことは、あり得るのです。

それでは細胞診だけでいいのでは?もちろん、細胞診で異常細胞が出ていなければ、その時は安心です。でも、ウイルス感染しているかまではわからない時もあるので、もし、ハイリスク型HPVに感染しているにもかかわらず、その時の細胞診が大丈夫だったら数年安心して放置してしまった、というリスクを考えると少し心配です。他国のように、定期的に検診を受ける常識があればそれでいいのですが、日本のように検診を受けない国では、一度受けて安心してまた数年受けない、もしくはもう受けないと言うことも多く、細胞診だけで5年も10年も次の検診までの期間があいてしまうのも心配です。

一番の方法は、細胞診と遺伝子検査の併用だと思います。遺伝子検査の弱点、細胞診検査の弱点をそれぞれの検査が補ってくれるのです。もし、両方の検査をして大丈夫なのであれば、2−3年はまず大丈夫と考える医師もアメリカでは増えてきているようです。

記事監修

もかちゃん

もかちゃん
臨床検査技師、細胞検査士、国際細胞検査士

国際細胞検査士の資格を活かし、日本とアメリカにて検査士として長年勤務。
海外の事情も知るからこそ出来る、日本とアメリカの子宮頸がんや性病に関する知識・医療体制の違いや性教育の違いについてなど、幅広く情報を発信しています。

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