男性の子宮頸がんワクチン、正しくはHPVワクチンを助成する制度の準備を開始したのは、今回の青森県平川市が日本国内で初めてです。
2020年12月に男性にもHPVワクチンを受ける認可は下りていましたが、まだまだ自費での接種のみで、公費で受けられる体制には動き出していませんでした。今回の青森県平川市でのこの制度をきっかけに、他の自治体でもどんどんとその選択肢が増えていくといいですね。
参考記事:「全国初」“男性の子宮頸がんワクチン接種”助成へ 「いいなぁ」「全国に広まってほしい!!」青森県平川市が称賛される
目次
男性が”子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)”を受ける理由
HPV感染は主に子宮頸がんの主因とされているため、”子宮頸がんワクチン”としてその認識を高めてきました。
もともとは、男性がHPVワクチンを受けることにより、女性にハイリスク型HPVを感染させない、女性を子宮頸がんから守るというのが第一の目的だったため”子宮頸がんワクチン”と言われていました。
最近では膣がん、外陰がん、肛門がん、中咽頭癌など子宮頸部以外、男女ともにその他の多くのがんにもハイリスク型HPVが関わっていることがわかったため、”HPVワクチン”として再認識されています。
HPV感染はもはや女性にとって危険な感染症ではなく、男性にとってもがんのきっかけになる感染症です。
HPVワクチン、4価と9価の違い
ワクチンの”価”は何種類の型が入っているかということです。4価は4種類のHPV、9価は9種類のHPVが入っています。もちろん、多く入っている方が予防力も高いことになります。
4価も9価もそのうちの2価は尖形コンジローマ(イボ)型のHPVでがんになるものではない型が含まれているので、実際のハイリスクは4価には2種類(16型と18型)、9価には7種類(16、18、31、33、45、52、58型)含まれていることになります。
ちなみにアメリカでは現在はもうHPVワクチンは9価のみとなっています。
がん研有明病院のがんに関する情報によると
『HPV52型、58型は欧米の報告ではがんから見つかることが少ないとされ、あまり注目されていません。しかし、日本ではHPV52型、58型ががん組織から高率に見つかる傾向があり、私たちはこれらHPV52型、58型をハイリスクHPVと考えています。』とされていることから、9価ワクチンが日本人にとって有効であることもあり、いち早く9価ワクチンが公費で受けられるようになるといいですね。
*文章引用:https://www.jfcr.or.jp/hospital/cancer/type/womb_hpv.html
HPVワクチンの効果は何年続く?
NIH(アメリカ国立衛生研究所)によると、シルガード4価は少なくとも10年、9価では少なくとも6年は効果があるとされ、これからもその後どれだけ効果が続き続けるのかの研究は進められています。
NHS(英国の国民保健サービス)でも同様に、少なくても10年の効果が確認されています。
4価ワクチンも9価ワクチンも、完璧なワクチンではありません。それは、ハイリスク型HPVはわかっているだけでも15種類、そしてまだまだ新たに発見されている途中なのです。現時点でのワクチンでは全てのハイリスク型HPVをカバーすることができないので完璧ではないのです。
それなので、ワクチンを受けていてもいなくても、アメリカでは21歳を過ぎたら、英国では25歳を過ぎたら子宮頸がん検診を受けることを推奨しています。
アイラボでも20歳を過ぎたら、もしくはセックスをするようになったら2年に一度は検査を受けるようにお勧めしています。セックスをするようになったら、かかりつけ産婦人科医を見つけておくといいですね。
男性はHPV関連の不安や悩みは泌尿器科もしくは皮膚科で相談しましょう。ちなみに、HPV感染だけでなく、性感染症も不安な場合はこちらの記事も読んでみてくださいね。
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記事監修
もかちゃん
臨床検査技師、細胞検査士、国際細胞検査士
国際細胞検査士の資格を活かし、日本とアメリカにて検査士として長年勤務。
海外の事情も知るからこそ出来る、日本とアメリカの子宮頸がんや性病に関する知識・医療体制の違いや性教育の違いについてなど、幅広く情報を発信しています。