(画像引用:https://www.med.or.jp/forest/gankenshin/data/foreigncountry/)
このグラフは何を示しているものだかわかりますか?
世界での子宮頸がん検診の受診率を比べたものです。だんとつで低く、アメリカの半分程度しかないのは、、、そう、日本です。
なぜ日本では子宮頸がん検診の受診率が上がらないのか、というのは長年の課題です。
婦人科に行くのが苦手、恥ずかしい、自分にがんなんて関係ないと思っている、子宮頸がん検診を受けるという習慣がない。。。その理由はたくさんあります。
今日はその中から、保険の観点から日本とアメリカの比較をしてみたいと思います。
目次
予防医療は自己負担の日本の保険
日本での健康保険のシステムは基本的に以下のようになっています。
症状などがあって治療が必要な場合→保険診療
自覚症状はなく「健康」でうける検診や心配だから念のため受けたい検査の場合→自費診療
つまり、早期発見、早期治療を目的とした予防医療は自己負担ということになります。市区町村や会社からの補助はありますが、基本的に予防医療=自費診療となっています。
予防医療は保険が負担のアメリカの保険
アメリカでは予防医療はほとんどの保険でカバーされています。日本のように、統一された保険ではなく私営の保険なので保険会社によって多少違いがありますが、私がアメリカにいた15年間の経験ではほとんど以下のようでした。
婦人科検診(子宮頸がん細胞診、子宮内診・触診、乳房触診、血液検査)は1年(もしくは2年、保険による)に一回は無料、もしくはCo-Payのみで受けられます。私の保険はいつも無料でした。
保険によっては年に一度の婦人科検診を受けないと婦人科の治療やピルの投与をしてもらえないこともあります。
歯の掃除も一年に2回まで無料でした。ちなみにアメリカでは、虫歯が痛くて歯医者に行っても、歯の掃除が終わるまでは虫歯の治療をしてくれませんでした。無料だし、ということで年に二回定期的に歯の掃除に行くのが習慣となり、当たり前となりました。そしてもちろん、年に一回の婦人科検診も当たり前でした。
職場でも、年上の先輩女性たちに「あなた今年もちゃんと受けたの???」とざっくばらんに聞かれるくらい、あたりまえのことなのです。
なぜこんなに予防医療が無料で受けられるのでしょう?それは、予防医療にかかる費用の方が、治療にかかる費用より断然にやすいからです。私営の保険会社はいかに儲けるかでその基準を決めています。
子宮頸がんも乳がんも、虫歯も、定期的に検査を受けて早期発見早期治療の方が安く済むのです。
なぜ日本の検診受診率が上がらないのか
市区町村でのクーポンは確かに給付されています。会社の健康保険組合からのサポートもあるでしょう。でも、婦人科検診はなぜかオプションなのです。マストではないのです。
アメリカの保険会社が予防医療にお金をかけた方が、治療にお金を払うより儲かるというのであれば、日本の保険システムはまるで逆をいっているように思われます。
予防医療を自己負担にすることで、後回しにされがちになる。それによって、発見が遅れ、治療にかかる保険費用が膨大にかかったり、保険でカバーできません、ということになったり。そして医療費が不足していく。
予防医療は自己負担、がん保険も自分で入ってください、そんなシステムでは、受診率を上げるのは難しいですよね。
アメリカの方法は、やや強引かもしれません。検査を受けていないなら治療しない、保険も適用にさせない。でも、そのおかげで子宮頸がんにおいては、その検診受診率は80%を越しています。
80%以上の人が検診を受けているということは、つまり検診を受けることが当たり前、という文化になっているのです。
検診を受けるか受けないかは、保険でカバーされているかいないかだけではもちろんありません。でも、検診を受けることが負担にならず、当たり前になることができたら、日本の子宮頸がん検診の受診率ももっともっと上げることができるのではないかと思います。
だからこそ、自分から行動を起こしましょう。結局は自分の体です。誰よりも大事にしたいのは自分です。
検診を受ける時間がない、恥ずかしい。そんな時はまずはアイラボの自宅から始める簡単検査で検査を受ける習慣をつけてみてください。女性だけではなく、男性もです。子宮頸がんはひとりではならないがんです。
おすすめの検査キット
こちらの記事を読んで気になった方へのおすすめ検査キットはこちらです。
自宅でご自身で採取出来、病院に行けなくても安心して検査が受けられます。
記事監修
もかちゃん
臨床検査技師、細胞検査士、国際細胞検査士
国際細胞検査士の資格を活かし、日本とアメリカにて検査士として長年勤務。
海外の事情も知るからこそ出来る、日本とアメリカの子宮頸がんや性病に関する知識・医療体制の違いや性教育の違いについてなど、幅広く情報を発信しています。