こんにちは。前回のこの記事を読んでくださった皆さん、どうもありがとうございました!
皆さんのいろいろな声、そして続きを楽しみにしています、と言う声。とても励みになります。大変お待たせいたしました。それでは続編とまいりましょう!
目次
厚生労働省がHPVワクチンの情報を改訂〜続編〜
前回は青いパンフレットの1枚目について触れました。今回は続きの2枚目、3枚目についてお話ししていこうと思います。
HPVワクチンと副反応
前回の記事でも少し触れましたが、今現在日本で認可されているHPVワクチンについて説明していきましょう。
サーバリックス
サーバリックスはグラクソ・スミスクライン社が製造販売するHPV感染予防ワクチンです。サーバリックスは2価HPVワクチンといって、2種類のHPVの型が含まれています。
含まれているHPV:子宮頸がんをおこすハイリスク型の16型と18型
ガーダシル
ガーダシルはメルク・アンド・カンパニー(Merck & Co.)社が製造し、MSD株式会社 (MSD K.K.) が輸入・販売をしているHPV感染予防ワクチンです。ガーダシルは4価HPVワクチンで、4種類のHPVの型が含まれています。
含まれているHPV:子宮頸がんをおこすハイリスク型の16型と18型、いぼをおこすタイプの6型と11型
そのほかのワクチン
サーバリックスとガーダシルの他にも9価のHPVワクチンは存在します。まだ日本では認可されていません。
各ワクチンの副反応
サーバリックスとガーダシルの公表されている副反応は厚生労働省のまとめた青のパンフレットによると以下のようです。(表抜粋)
どちらのワクチンにおいても、ほとんどの副反応は局所性のもので、「注射した場所がしばらく痛い」程度の、ほかの予防接種とかわりはありません。
安全性に関しては, 副反応の多くが局所反応で, 9価ワクチンでは僅かに多く(90.7% vs 84.9%: 4価), また9~15歳では男性は女性より少なかった。
引用:国立感染症研究所「HPVワクチンに関するWHOポジションペーパー 2017
https://www.niid.go.jp/niid/ja/route/std/1477-idsc/iasr-out/7389-449f02.html
その他にこのパンフレットに記載されている副反応として、
- その他、接種部位のかゆみや出血、不快感のほか、疲労感や頭痛、腹痛、筋肉や関節の痛み、じんましん、めまいなど。
- 呼吸困難、じんましんなどを症状とする重いアレルギー(アナフィラキシー)
- 手足の力が入りにくいなどの症状(ギラン・バレー症候群という末梢神経の病気)
- 頭痛 、嘔吐 、意識の低下などの症状(急性散在性脳脊髄炎(ADEM)という脳などの神経の病気)
そもそも副反応って何?
副反応とはワクチン接種によって免疫機能が働き抗体が作られるといった目的以外の反応を示してしまうことです。注射をした部分が痛くなったり、だるくなったり、ちょっと風邪みたいな症状が出たりするのは副反応です。
副作用との違いは、副作用は治療のために使った薬などが、その症状を治すこと以外に反応を示してしまうことで、簡単に言えば副作用は症状があって治す目的以外の反応、副反応は予防目的のワクチンが目的以外の反応を示してしまうこと、と言うことになります。
なぜHPVワクチンの副反応が大問題になってしまったのか?
HPVワクチンを接種した後に、体に力が入らない、気力がなくなってしまう、手足が麻痺してしまう、学校にいけなくなってしまった、といった重篤な副反応が出たとして大問題になりました。これに伴い、日本でもHPVワクチンを積極的にすすめることをやめています。
これからの未来を担う若者が、予防接種であるHPVワクチンの副反応によってその未来を奪われてしまった、ということが大きな問題になったのでしょう。
しかし、重篤な副反応はHPVワクチンと関係あるかどうか、と言う問題はとても難しく、深刻な問題だと思います。
ワクチンの副反応については、私たちは専門家ではないのであまり言及はできませんが、先日の北海道での日本性感染症学会で「思春期ワクチンとしてのHPVワクチン」と言うセミナーがあったので、お話を聞いてきました。
思春期の心身症
セミナーの中で、長崎県立こども医療福祉センターの小柳憲司先生より、HPVワクチンとは関係なく、思春期の心身症についてのお話がありました。
起立性調節障害という心身症があり、それは中高生のおよそ15−28%に見られるそうです。成長の早さに体がついていかないこと、受験勉強などによる疲労とストレスなどによって一時的に血圧回復異常(急に立ったりした時に血圧の調節がうまくできないこと)を起こし、体が一時的に思うように動かなくなってしまう疾患だそうです。
この時に、怪我をしたり、事故にあったりと何か痛いことや、身体的な刺激を受けてしまったことがきっかけに、この起立性調節障害が生活リズムの乱れ(朝起きられないなど)、うつ、自信喪失、情緒不安定などといった心の病気との合併症を起こし、不登校などを引き起こす心と体の病へつながってしまうこともあるとのことでした。
先生が強調されていたのは、きっかけとなる出来事があって発症するが、きっかけは原因ではないということ。症状のきっかけにとらわれることが、病態の把握を複雑にしてしまう、とのことでした。
ワクチン接種から、その後の流れ(留意点)
青のパンフレットの3ページ目になると、ワクチン接種からの留意点が示されています。
簡単にまとめてみると、
ワクチン接種をしてすぐ
病院で30分くらい休憩して、失神やその他の副反応がないことを確認しましょう。
帰宅後
激しい運動は避けましょう。
気になる症状があったら病院に連絡しましょう。
その後
万が一、副反応によって医療機関での治療が必要になったとき(医療費がかかったとき等)は市区町村に連絡しましょう。
接種後に生じた症状によって受診する医療機関や、日常生活のこと、 医療費のこと等で困ったことがあったときはお住まいの都道府県に設置された保健所等にある相談窓口に相談しましょう。
HPVワクチンを接種した子供が20歳になった時
子宮頸がん検診を定期的に受けましょう。
HPV ワクチンは、全てのタイプの HPV の感染を予防するものではありません。
ワクチンで感染を防げない HPVが原因の子宮けいがんを予防するには、子宮けいがん検診を受診して、がんになる前の前がん病変の段階で早期発見する必要があります。
ワクチンを接種したお子様も、20 歳になったら 2 年に 1回は必ず子宮けいがん検診を受けてください。
厚生労働省がHPVワクチンの情報を改訂〜続編〜まとめ
HPVワクチンは2価ワクチンのサーバリックス(HPV16と18型)4価ワクチンのガーダシル(HPV6,11,16と18型)の二種類が日本では認可されています。9価のワクチンはまだ認証されていません。
副反応はその他の予防接種と同じで、うったところがちょっと腫れて痛いなどの局所的なものがほとんどですが、重篤な症状も報告されています。
長崎県立こども医療福祉センターの小柳憲司先生のお話を聞いての私の個人的な解釈ですが、副反応が出ると言われているHPVワクチンを受けること、それによって局所的な痛みを感じることがきっかけとなってしまい、ワクチンを受ける思春期の年頃に見られる起立性調整障害というものと合併症を起こしてしまう可能性も否定できないのではないか、ということなのでしょうか。
つまり、HPVワクチンの副反応そのものなのか、その他の要因があったからの合併症なのか、そこの判断は専門家の方々にも大変難しいのでしょう。
長くなってしまったので、最後の「HPVワクチンを接種した子供が20歳になった時」に関しては、また後日詳しく触れたいな、と思います。
今回も最後まで読んでいただいて、ありがとうございます。何か質問がありましたら、お気軽にアイラボの無料電話相談をご利用ください。
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記事監修
もかちゃん
臨床検査技師、細胞検査士、国際細胞検査士
国際細胞検査士の資格を活かし、日本とアメリカにて検査士として長年勤務。
海外の事情も知るからこそ出来る、日本とアメリカの子宮頸がんや性病に関する知識・医療体制の違いや性教育の違いについてなど、幅広く情報を発信しています。