色々な技術が最先端の日本。そして、伝統的文化も豊富な日本。新しいことを考えるのが得意だけど、古くからの技術や信念も大事にできるのが日本の素敵なところだと私は思います。
でも、古い信念を大事にしすぎて世界より大幅に遅れてしまっていることが多々あるのも事実でしょう。
ただ、時代遅れなだけです。風俗はとても盛んで、そのサービスは日々進歩しているのに、性について本当に大事なことは語らない、知ろうとしない。婦人科に行くことは恥ずかしいこと、病院に行って検査することは恥ずかしいこと。。。その辺の間違った固定観念は古き良き伝統でもなんでもありません。
企業健診制度や人間ドックといったシステムはアメリカにはありません。その辺はとても画期的だと思います。
それなのに、子宮頸がん検診に関しては先進国最下位レベルの受診率。
なぜ子宮頸がん検診はこんなに出遅れてしまっているのでしょうか?なぜ、子宮頸がん検診はいまだに「オプション検査」なのでしょうか?
検査さえすれば、癌になる段階よりも前に見つけられる数少ないがん。だからこそ、オプションにするのではなくて、マストの検査にして、撲滅するべきではないのでしょうか?
救えるとことからまず確実に救っていくこと、私はその方法を選ぶ必要はないと思います。
もちろん、産婦人科に行って検査を毎年できる人がすべてならそれは素晴らしいこと。でも現実はそうではありません。
病院が怖くて行けなかったり、忙しくて行けなかったり、恥ずかしくて行けなかったり、、、、自己採取をやみくもに否定することで、このような病院に行けていない人たちは病院に行けるようになっているのでしょうか?検査を受けないことの解決になっているのでしょうか?
それよりは、どちらでもいいからちゃんと検診を受けましょう、と力を合わせて子宮頸がんになる女性を一人でも減らすことが、先決ではないでしょうか?
また、自己採取がここまで否定されている背景には、自己採取器具での子宮頸がん検査の仕組みをしっかりと理解せず、処理も検査も最善のことをせずに来てしまった検査企業にも責任はあると思います。
患者さんに自分の検査がどの検査企業で処理されているのかなんて選べなければ知ることもできません。みんな、ちゃんと検査してくれていると信じているのです。その気持ちを裏切ってはいけないのです。取られてきた検体を最大限利用し、しっかりと正しく検査する、それが検査にかかわる人間一人ひとりの使命です。
人の命に変えられるものはありません。一人一人ができることを精一杯やる、それが先進国に生きる私たちなら理解することが難しいことだとは思いません。
産婦人科医は医療だけでなく女性が検診を受けやすい安心感や環境の提供を、
検診提供者は、どうしても産婦人科の診察台に乗ることができない女性をサポートし、
検査を受けた検査機関は、その検体の後ろには命があることを忘れずにしっかりと検査をする。
そして一番大事なのは、一人一人の女性が毎年検診を受けること。
それが、それぞれの責任なのではないか、と思います。
婦人科医を先頭にいろいろな専門家が団結して漏れのない受け皿をつくり、ならずにすむがんを一つでも減らすこと。
日本ならではの集団意識を生かして、対立するのではなく、チームになって女性を子宮頸がんから守っていける、そんなことを誇れる日本になれたらいいな、と思います。
記事監修
もかちゃん
臨床検査技師、細胞検査士、国際細胞検査士
国際細胞検査士の資格を活かし、日本とアメリカにて検査士として長年勤務。
海外の事情も知るからこそ出来る、日本とアメリカの子宮頸がんや性病に関する知識・医療体制の違いや性教育の違いについてなど、幅広く情報を発信しています。