学術・研究発表

第50回日本臨床細胞学会抄録

液状化検体による子宮頸癌検診の精度に関する検討
1.自己採取例における異型細胞の検出率

発表:籔崎宏美(CT)

【はじめに】

我が国の子宮頸癌検診受診率は欧米に比し著しく低く、H21年度より無料クーポンが配布され一定の効果は得られているが、クーポン利用率は25歳17.7%、30歳23.8%と低迷している。今回我々は自己採取法による企業検診の機会を得たので、その成績を基に自己採取法の有効性と問題点を考察した。

【材料及び方法】

検査対象は従業員369名、被扶養者359名、総計728名である。対象者全員に加藤式採取用キットを配布し、検診実施日に回収して当社に送られた。検体は全て液状化処理にて標本作製した。

【結果】

当社に送付された検体は、従業員が164名(44.4%)、被扶養者が188名(52.4%)、全体では352名で受診率は48.4%であった。細胞診成績はASC-US以上は12例(3.4%)で、ASC-USが5例(1.4%)、LSILが4例(1.1%)、ASC-Hが2例(0.6%)、AGCが1例(0.3%)で、LSIL(Ⅲa)以上の異型細胞は7例(2.0%)に見られた。

【考察】

2009年度対がん協会各支部の子宮頸がん検診実施状況において、要精検率は山梨の0%から大分の2.2%、全体では1.0%であり、医師による直接塗抹標本での検出率に劣らなかった。一方、第29回東京都衛生検査所精度管理事業報告書によれば、年間5,000件以上の自己採取検体を扱う4社におけるクラスⅢa以上の検出率は0.36%、0.36%、0.44%、0.92%であり、「加藤式で採取―液状化標本の作製」法は子宮頸癌検診の受診率向上に寄与するものと思われる。

液状化検体による子宮頸癌検診の精度に関する検討
2.自己採取例における異型細胞動態について

発表:椎名義雄(CT)

【はじめに】

子宮膣部HPV感染及び扁平上皮内病変由来の各種異型細胞検出の再現性を検索し、自己採取法の有用性と問題点について考察した。

【材料及び方法】

2008年1月から2010年12月の間に風俗営業従事者の定期検査を実施した367名から得られた2,045例を検索対象とした。細胞の採取は加藤式自己採取器具を用い、検体は当社保存液に洗い出し、沈渣の一部を32mmの長さに塗抹した。定期検査実施中で最も異型の強い診断をその受診者の代表として集計し、異型細胞の出現パターン(異型細胞動態)を検索し、特にHSILとした6例についてその要因を検索した。

【結果】

ASC-USは83名(22.6%)、LSILは32名(8.7%)、ASSC-Hは13名(3.5%)、HSILは6名(1.6%)であった。異型細胞の出現パターンは①ASC-USが散発性が47名、ASC-US後LSILが12名、ASC-US後HSILが5名、突然LSILが一度6名、突然LSILその後持続10名、突然ASC-Hが6名、突然ASC-Hその後LSILが3名であった。
HSILが出現した6名の異型細胞動態は、HSIL→ASC-Hの連続2例、HSIL→ ASC-US→LSIL→ASC-Hの出現2例、HSIL→NILM→LSIL→ASC-Hの2例に分かれた。

【考察】

細胞診の精度上、HSILと診断された後、NILMやASC-USと診断したケースを再調査する事は、自己採取法の精度及び信頼性を論ずる上で極めて重要である。現状では異型細胞少数例に対応する為、塗抹量を5mmで対応しているが、更に詳細な調査結果を報告する。

液状化検体による子宮頸癌検診の精度に関する検討
3.医師採取による異型細胞の検出率

発表:熊谷朋子(CT)

【はじめに】

細胞診で最も大切な標本作製を医師から細胞検査士にシフトした当社LTCS(Liquid Transport Cytology System)で子宮頸癌検診を実施したのでその成績を報告し、その有用性を考察した。

【材料及び方法】

検索材料はH20,21,22年度3年分の計1,802例の綿棒による子宮膣部擦過材料を用いた。採取した綿棒はアイ・ラボPS保存液に浸漬し、当社に搬入後綿棒より細胞を剥離させて浮遊液作製し、沈渣をスリ合わせ法にて3.2mmの幅に塗抹、型の如くPapanicolaou染色を施し、当社の方法にてスクリーニングを実施した。

【結果】

ASC-US以上の異型細胞は66件(3.7%)で、ASC-US(Ⅱb)は41例(2.3%)、LSIL(Ⅲa)は5例(0.3%)、ASC-H(Ⅲ)は11例(0.6%)、HSIL(Ⅲa・Ⅲb・Ⅳ)は10例(0.6%)で、Ⅲa以上は全体の1.4%であった。Ⅲa以上を年度別にみると0.95%、1.46%、1.82%とASC-USが減少してLSILが増加した。不良標本は3例(0.17%)であった。

【考察】

LTCSは、不良標本廃絶の目的で導入したが、標本作製の負担は増えたものの観察しやすい標本が得られる為、細胞検査士の意識改革(異型細胞を発見する楽しみ)につながり、異型細胞の検出率も向上した。高価な機器を要せず、どこでも、いつでも始められ、不良標本は0.17%で、その全てが採取量不足が明白な為、これが原因で医療機関とのトラブルはなかった。観察しやすい標本を作製することが精度向上の鍵である。

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