学術・研究発表

日本性感染症学会 第24回学術集会

HPV持続感染例における細胞形態学的推移

発表:藪崎宏美

【目的】

風俗営業従事者の定期検査において、細胞診でHSILの細胞が出現した症例を用いてHPVの持続感染と細胞形態の経時的変化を観察し、自己採取法におけるFollow-up体制のあり方を考察した。

【方法】

2008年1月から2010年12月の間に風俗営業従事者の定期検査を実施した367名から得られた2,045例の細胞診において、1回以上HSILの異型細胞が出現した6例(1.6%)について、異型細胞の出現性(異型細胞動態)とHPVタイピング検査を実施した。加藤式自己採取器具にて採取した検体は、アイ・ラボPS保存液にて細胞浮遊液を作製し、細胞診及び性感染症検査を実施した。余剰検体に保存液を追加し、室温で保存した。HPVタイピング検査は、受診者の承諾を得た上で23種のプライマーを用いたPCR法にて実施した。

【結果】

6例全てが16型の持続感染がみられ、その他に51型、52型、39型、18型等の重複感染がみられた。最初の検査からHSILが検出されるまでの期間は、症例3,6は最初から、症例5は翌月、症例4は1年3ヶ月、症例1、2は2年1ヶ月であった。HSILの細胞が連続的に検出されるまでには、ASC-USまたはLSILが出現する時期(第一段階)、ASC-USやLSILにASC-Hが散発的に出現する時期(第二段階)を経てHSILが連続的に出現する時期(第三段階)に分けられた。

【考察】

6例全例に16型の持続感染が見られた意義は大きく、16型と子宮頸癌との関係が改めて証明された。初感染の時期を特定するのは困難であるが、概ね第一段階、第二段階、第三段階を経て病変が進展するものと思われる。今回は少数例の検討であるが第二段階から第三段階への進展は1年半程であり、この時期に細胞診で深層型でN/Cが高いものの、積極的にHSILの診断ができないASC-Hの出現は予後診断において注意すべき所見と考える。

SDA法による咽頭からの淋菌・クラミジア検出における採取法の検討
― うがい液とスワブの同時比較 ―

発表:熊谷朋子

【目的】

SDA法による咽頭の淋菌・クラミジアの検出にはスワブ検体で認可されているが、昨年の学術集会で発表したように、性器に比べて咽頭からの検出率が極端に低率であった。そこで今回、同一検者よりスワブとうがい液を採取し、両者の検出率を比較した。

【方法】

2011年1月から3月の間に実施した風俗営業従事者の定期検査において、承認の得られた100名に対し、スワブ検体採取後にうがい液を採取し、両者を同時に測定してその成績を比較検討した。スワブ検体採取後、約10mlの水道水で約20秒間うがいをした液(うがい液)5mlを等量のアイ・ラボPS保存液に混和したものを検体とした。検体は遠沈後、保存液を十分排除した後その一部をSDA検査に供し、同時に塗抹標本を作製してPapanicolaou染色を施し、検体の適否判定及び炎症の有無を観察した。

【結果】

100例全ての検体は細胞が十分採取され「適正」と判定したが、細胞量はスワブに比べてうがい液の方が圧倒的に多かった。淋菌・クラミジアの検出率は、うがい液では淋菌が11例(11%)、クラミジアは1例(1%)であったのに対し、スワブでは淋菌が5例(5%)で、これらは全てうがい液でも検出され、クラミジアは検出されなかった。

【考察】

今回の検索で、うがい液からは淋菌とクラミジアを合わせて12例が陽性であったのに対し、スワブではこのうちの淋菌5例のみが陽性で、うがい液に対するスワブでの検出率は41.7%であった。この相違は、細胞量と採取部位が関係していると思われた。スワブでは咽頭への刺激が強く、目的の部位まで到達せず、十分な細胞が採取されない可能性が高く、特にクラミジアでその傾向が強いものと思われる。それに対してうがい液は誰もが容易に行えるため、目的の部位から十分な細胞採取を可能にしていると思われる。

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